脱炭素社会に関する意識調査
1 本調査の目的:国は 2030 年に温室効果ガスを 46 %削減する目標を掲げている。この目標を達成するためには、社会全体で取り組む必要がある。そこで 日本人の 目標達成に対する考えと、脱炭素社会に対する考えを調査 す ることで、 脱炭素社会に 対する受容度を高める ための方策に役立てることを 目的とする。
2 調査方法
調査対象:20 代~ 60 代の 日本国民 n =440
調査方法:インターネット調査( GMO リサーチ
調査時期:令和 5 年 1 月
データ解析:一般財団法人沖縄県公衆衛生協会
3 本調査の結果 の 概要 と今後の対策について
(1 )調査結果の概要
結果1 気候変動問題へは 約 6 割が関心を持っている
結果2 気候変動に関心のある理由は「生活の中で感じるから」、「社会的な注目が高まっているから」、「ニュースで取り上げられることが多いから」、関心のない理由は「生活のなかで感じられないから」となる 。また、関心のない理由の一つに、「気候変動は人間が原因でないから」という考えがある
結果3 2050 年実質ゼロ(カーボンニュートラル)の認知度は 56 %であ る
結果4 国の 2030 年に温室効果ガスを 46 削減する目標について は 、「わからない」という回答が最も多く、次いで 「 現在の目標( 2030 年に 46 %削減)でよい 」 となる
結果5 沖縄気候非常事態宣言の認知度は、約 15 %で ある
結果6 2030 年の温室効果ガス削減目標(沖縄県)について、「わからない」という 回答が最も多く、次いで 「 国と同じ目標( 2030 年に 46 %削減)でよい 」 となる
結果7 気候変動が生活の質に与える影響については、 日本人は過去の調査等 「世界市民会議「気候変動とエネルギー開催報告書」( 2015 )」 詳細 P12 と比較して 、 減少しているものの「生活の質を脅かす」という考えが強い 。
(2 )今後の対策について
・対策 1 身近な生 活上の現象と気候変動問題との関係を伝える
気候変動問題への関心を高めるため、現に周囲で起きている様々な変化(例 花の開花時期、熱中症の増加)を事例として、気候変動問題を伝え ることで、気候変動による影響が身近に起きており、自分自身の身にも降りかかる可能性があることを伝え 、「自分ごと」として捉えるように 普及啓発を工夫していく 必要がある。
・対策 2 気候変動問題を科学的根拠に基づいて継続的に伝える
温室効果ガス削減目標を下げるべきという意見の理由の中で、「気候変動は人間が原因でないから」という意見があった。 気候変動については 、 IPCC の第6次報告書で示されたように、 「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」 と結論づけられている ことから、 現在の気候変動は人為起源であることを、科学的根拠に基づき継続して伝えていく必要がある。
・対策 3 気候変動対策を進めることで、生活の質の向上につながることを伝える
結果 7 の回答に加え、過去の調査(世界市民会議「気候変動とエネルギー 開催報告書」2015 )詳細 P12 )から見ると、 日本人は気候変動対策を進めることで、生活の質が下がるという考えを持つ人が多く、気候変動対策を進める上での足かせになることが予想される。本来は気候変動対策を進めると生活の質の向上に繋がることが予想される。例えば、現在、日本では海外から化石燃料や資源を大量に輸入しているが、気候変動対策として、再生可能エネルギーの普及や循環型社会を推進することで、これまで海外に流出していた資金が国内で還流することになり経済的に豊になる 等、 気候変動対策を進めることで、持続可能な豊かな 社会が実現すること(豊かな社会が目指せる気候変動対策でなければならないこと)を伝えていく必要がある。